森をつくろう

ヒマラヤに森をつくろうプロジェクトとは


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野口は仕事柄、様々な国を訪れますが「木を切る文化はあっても、植える文化を持つ国は少ない」と言います。森林伐採の結果、土砂崩れがおき、人が亡くなることも。これは当団体が学校建設等を行っているヒマラヤのサマ村でも同じです。村人が生活のために木を切り、森林が破壊された状態にあります。

野口はそれを見て「明治神宮の森」に思いを馳せます。明治神宮の森は50年後、100年後を想定し緻密な計画のもとにつくられた人工林です。人は自然を破壊する事も出来るが自然をつくることも出来ることを実証しているのです。

野口が森づくりの専門家の方々に相談を重ねた結果、住友林業の方々がサマ村にて現地調査を行ってくれました。調査によればサマ村での森林再生は技術的に可能とのこと。住友林業の専門家の方々のアドバイスをもとに、日本の技術でヒマラヤの森林を再生します。











◆サマ村の森林破壊 
マナスル峰の麓のサマ村から、新たに森林再生プロジェクトを始めます。産業がないサマ村では、村人の生活は森林資源に依存しています。電気、ガス、石油、石炭などが手に入りにくいサマ村では、燃料といえば薪です。

また木材は、村の経済を支える重要な資源。周囲の森林を伐採して、木材をチベットに売ることが現金収入を得るための数少ない手段なのです。かつては森林だったと思われる土地が、だだっぴろい草原と化しているようなところが村の周辺にはあちこちに見られます。

森林破壊が進むと、土砂崩れが起きやすくなります。下流域に洪水被害をもたらすこともあります。自然と人間の共存バランスが崩れると、自然災害が人間の生活を襲う可能性も高くなります。思いがけないかたちで人の命を奪うことになりかねません。サマ村でも、森林の保全と再生が必要になっていました。

◆植林は可能なのか
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世界中、「木を切る文化」はあちこちにありますが、「植える文化」を持つ国はなかなかありません。しかし日本には「植える文化」があります。たとえば、東京・渋谷区にある明治神宮の森。自然原生林のようなあの森は、じつは大正時代につくり上げられた人工林です。当時、あの界隈には大きな木は茂っていなかったといいます。50年後、100年後を見据えて、緻密な計画のもとにつくられたものでした。

人は自然を破壊することもありますが、自然をつくることもできることをまさに実証しています。

ただし、問題はサマ村が富士山山頂とほぼ同じ標高3700メートルという高地であることです。寒冷地帯の森林再生は時間と労力がかかるものだそうですが、ヒマラヤの高地帯に植林して森を復元していくことが実際に可能なのかどうか。

幸い、前例はあります。エドモント・ヒラリー卿の財団が、森林プロジェクトを手がけてきたという実績がありました。
課題になるのは持続性です。50年後、100年後を想定しながら木々の成長を見守っていくには、そこで暮らしている村人たち自身の意識が根づいていなければなりません。推進する指導者さえいればいいというものではなく、住民主体のプロジェクトとしていくことがいちばん重要なのです。

あるとき、サマ村の子どもたちにランドセルを送ってくれた日本の小学生たちは、森林開発プロジェクトの一環として植樹をして木を育てているという話をしたところ、子どもたちは「自分たちもやりたい」と言ってくれました。未来を担う子どもたちが、大人を巻き込んでくれるかもしれない――そんな期待が湧いてきました。

また、野口の頭には、ケニアにおける環境活動でノーベル平和賞を受賞したワンガリ・マータイさんの言葉があります。マータイさんは「資源を失うと人々は争いを始める」という認識のもと植林活動であるグリーンベルト運動をはじめました。

ヒマラヤでもかつては森林を伐採しチベットに売っていました。結果、森は切りつくされ、次に彼らが注目したのが「冬虫夏草」でした。冬虫夏草とは漢方の生薬や中華料理の食材として使われるきのこのようなもので、冬は虫のような姿ですが、夏になると草になるいうところからそのような名前がつきました。中国や韓国で漢方薬として大人気で故に高値で売れることから、冬虫夏草をめぐり、人々の間に争いが生じてきます。

今から約十数年前にはヒマラヤのとある地域で、冬虫夏草をめぐり5人が殺害されるという事件が起きたくらいなのです。野口はこのプロジェクトを通じて、ヒマラヤの本来の生活を取り戻すことができればと考えています。
ワンガリ・マータイさんと

みんなで育てる森
森づくりの専門家に相談を重ねた結果、海外での森林再生事業に実績のある住友林業の方々が、はるばるサマ村まで現地調査に赴いてくれました。調査によれば、サマ村での森林再生は技術的に可能とのこと。
いよいよ2015年から、数十年スパンのヒマラヤの森林再生プロジェクトが始動します。ヒマラヤで実際に森林プロジェクトに関わってきたネパール人植林技師も、2015年春からサマ村にやってきます。
学校の敷地はものすごく広大なので、その土地に苗木を育てるところから始まります。村の子どもたち、大人たち、専門家、みんなが関わって森をつくります。このプロジェクトをどうぞ気長に応援してください。